フリマサイトで摘発者が増加しているワケとは?

2020年10月4日

ここ数年で急激に広まった「フリマアプリ」。
スマートフォン1台あれば誰でも簡単に売買を始めることができ、利用者は月1000万人を超える。
しかし、自由に取引ができるようになった一方、「知らなかった」では済まされない落とし穴も。

警視庁が摘発した、意外な実例とは。

「処分しようとしただけ…」

実際に出品された「アロワナ」の剥製

新型コロナウイルスの影響で自宅にいる時間が増え、フリマアプリで不要品を売って小遣いにしようと考えている人は少なくない。
しかし、その手軽さゆえに思わぬところで犯罪に加担してしまう可能性があるという。

去年1月、フリマアプリにある生き物の剥製が出品された。
絶滅危惧種に指定されている熱帯淡水魚、「アジアアロワナ」の剥製だ。

アプリの出品欄には「熱帯魚剥製 古代魚」「価格15000円」「生息する海も限られている剥製です」と売り文句が並ぶ。

絶滅危惧種の販売が規制されていることは知られているが、これは剥製。
出品したのは滋賀県に住む60代の女だった。
家にあった不要品の剥製を処分しようと出品したところ、去年8月に種の保存法違反の疑いで警視庁に書類送検された。
「家族が知人からもらった」「引っ越しでいらなくなったので、処分してお金にかえようと思った」。
女はそう供述したという。

種の保存法は国内外の絶滅のおそれのある野生生物の保護が目的だ。

絶滅危惧種の取引には環境省への登録が必要だがその種類によっては生きた個体だけでなく剥製や標本、皮や牙などもその規制の対象となる。

違法と知らず…「自家製の肥料」出品

実際に出品されたガーデニング用の肥料

落とし穴にはこんなケースも。 去年、フリマアプリに出品されていたのは、ガーデニングなどに使う肥料の数々。
まきなどを燃やして作った「草木灰」や正規に購入した肥料を小分けにして出品したものなどだ。

実はこれらの販売もまた、違法。

聞き慣れないが肥料取締法という法律に抵触している。

自家製の肥料は自分で使う分には問題ないが、販売目的での生産にあたっては肥料の品質や農作物の安全性を確保するため、都道府県知事への届け出が必要になる。
正規に購入した肥料も、小分けで転売する場合は商品の成分などが書かれた保証票の添付が義務づけられている。
このとき書類送検されたのは大分県の主婦ら男女7人で、いずれも無届けだった。
7人全員が「違法だとは思わなかった」と供述したというが、実際に押収された「自家製の肥料」からは微量のヒ素などが検出されてもいる。

警視庁の捜査幹部は「肥料を作る時、ビニールなどの不純物が混ざっていれば有害物質が大幅に増える。
それを口に含むと健康被害が出るおそれもある」と話す。

「高く売れる古着」転売繰り返す…検挙

フリマアプリでよく出品されている「古着」にも気をつけなければならない点がある。

ことし5月、人気ファッションブランド「コム・デ・ギャルソン」の社員の男が無許可で自社の古着をフリマアプリで仕入れ、転売したとして、古物営業法違反の疑いで警視庁に書類送検された。

この事件、いったいどこが罪に当たるのだろうか。
実は問題となったのは、この男が仕入れと転売を繰り返していたことだった。
古着の転売そのものは違法ではない。
男もただ、人気の古着をフリマアプリで仕入れ、ネットオークションで売ったにすぎない。

しかし男には古着屋での勤務経験があった。
そのため「高く売れる古着」を見抜くことができたという。

つまり「目利き」ができたのだ。
男はその培った能力で高く売れる古着をフリマアプリで見つけては購入し、転売することを何度も繰り返したという。
3年ほどで転売した古着はおよそ450点。手にした利益は210万円あまりにのぼる。
フリマアプリでは不要品などを出品していることが前提で、何度も同じような商品の売買が続くこと自体がまれだ。
仕入れと転売を繰り返すこの男の行為は古物の「営業」に当たる…。

警視庁はそう判断し、検挙に踏み切ったのだ。

「これくらい大丈夫」とは思わずに

3つのケースに共通しているのはいずれも主婦や一般の会社員など、いわゆる犯罪の「プロ」ではない人たちばかりだ。

警視庁の幹部によると、こうした事例では検挙された人は皆、「これくらいなら大丈夫と思った」「違法とは知らなかった」と口をそろえるという。

現在、医薬品などは個人の転売について規制の動きも進んでいるが、そもそも適用される法律が「個人間での取引」を想定したものでないため、対策が追いついていないのが実情だ。

「個人だからかまわないだろうと安易に取引せず、規制されているものもあるのでよく確認してほしい」。
警視庁の幹部は、そう注意を呼びかける。